b.降車系動線=車両・ホームから改札口に至る動線 では、多くの鉄道で駅員が介助して車イス利用者の便を図る方策が採られている。 自立的な行動のための情報設備を検討する状況ではない。 10)ビジュアル・サインの掲出方法についての留意点は、次のように整理できる。 a.誘導情報及び位置情報は、利用者一般のビジュアル・サインと同一の器具を用いることも可能で、視野を遮らない高さに掲出すること。 b.案内情報は、車イスがアプローチしやすい箇所に、低い視点や狭い視野に配慮した面の大きさと掲出高さを確保すること。 2. 環境整備上の留意点 1)車イス使用者に対応する環境整備上の課題として、 a.段差を解消すること、 b.昇降設備を設けて、身体的な上り下りのない移動経路を確保すること。 c.できるだけ短い移動経路を確保すること。 d.低い視点に対して、できるだけ開放的な視界を確保すること。 などが指摘できる。 2)段差がなければ車イスが楽に移動できるのは当然である。 3)現状の多くの駅では、順次駅改良を重ねてきた経緯もあって、昇降設備のうち特にエレベーターは、構内の端部に設けられる場合が多い。 4)これを利用者一般の基本動線に近い箇所へ設けることができれば、車イス使用者ばかりでなく、高齢者やその他の障害者、一時的な移動制約者にまで広く利便性を提供することができる。 5)移動経路の短縮は、利用者の身体的負担を軽減するのみならず、空間のわかりやすさを体感することと密接に関係している。 6)開放的な視界を確保できれば、空間全体の関係を一望して把握することができるから、情報設備による確認行為を軽減することができる。 7)開放的な視界を確保する方策として、 a.駅構造にレベル差がある場合、吹抜け部分を工夫することで、上下双方向から互いの様子をよく見える状況にする。 b.駅出入口や改札口など人の滞留がおこりがちな“節目の単位間"を、平面的にも断面的にも大きくする。 c.昇降設備のシースルー化を図る。 などが考えられる。 8)視界の開放化も、車イス使用者ばかりでなく、利用者一般の利便性の向上、ひいては快適性の向上に寄与することができる。
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